殺人鬼械の痛み

2029,12,○○






年末になり、学校は冬休みに入った。
しかし受験生だからといって、冬休みの宿題が減るような事は無い。
夜、春奈は自分の部屋で、冬休みの宿題を黙々とこなしていた。
春奈は気付いてなかったが、部屋のドアが少し開きっ放しになっていて、そこから浩平が静かに、宿題をする春奈の後ろ姿を見ていた。

浩平には、春奈が心配だった。
怪我したクラスメートの血を見てエラーを起こして以降、春奈は少しずつだが、浩平が隠した春奈の過去に近付いてるようだったからだ。
浩平は、何が何でも、春奈の過去を隠し通したかった。




その後、春奈と浩平は居間で、ノンビリと年末の特別番組を観ていた。
春奈としては、中学卒業後は進学せずに、浩平のロボット研究の仕事を手伝うつもりだった。学校に通った記憶が殆どインプットされてない春奈としては、それが自然な発想だった。
浩平はそっと、特別番組を観ている春奈の様子を盗み見た。




ほぼ同じ頃、翼は自室で、志望校の受験問題の過去問を解いていた。
本来の受験生としては、翼の方が受験生らしく、ノンビリと特別番組を観ている暇なんて存在しない。
翼は問題を解き終わったのか、筆記用具を勉強机の上に置き、××遊園地で撮った唯と一緒に写った写真を、手に取って眺めた。





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