殺人鬼械の痛み
2029年――八年後

2029.2.14






遊園地での大量殺戮からちょうど八年後の、バレンタインの日。
明るくて白い照明が沢山点けられた部屋。
パソコンや電動ドライバーが整理整頓されて複数置いてあり、何処かの工業系の研究室のようだ。


その研究室の主、四十五歳の長山浩平(ナガヤマ コウヘイ)は、机の上に置かれてある封筒を開け、手紙を出して読み始めた。
手紙の冒頭には、何かの題名のように、『アンドロイドの潜入実験のお願い』と書かれている。

部屋の隅には、人が横になれるくらいの大きなシェルターが置いてあって、八年前に遊園地でマシンガンを連射し、多くの人々を大量殺戮したアンドロイド・春奈が、電源を切られて寝かせた状態で保存されていた。


手紙を読み終わった浩平は、シェルターを開け、電動ドライバーを片手に、春奈の改造を始めた。
浩平が机に放置した手紙には、『~つきましては、貴殿の制作したアンドロイドを実験用に提供していただき、実験に協力していただくようお願いします』と書かれていた。

どうやら浩平は、かつて大量殺戮マシーンとして使っていた春奈を改造して、アンドロイドを一般の人々に馴染ませられるかどうかを調べる、潜入実験の実験体として使うつもりらしい。





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