サヨナラからはじめよう
「それから、涼子さんが元気になって落ち着いたら・・・・・」

そこで言葉に詰まる。
落ち着いたら、何・・・?
何を言われるかわからないけれど、なんだか胸がざわざわする。

司は一度顔を下げてからもう一度こちらを見ると、強い決意を持ったような顔で言った。

「その時は僕の話を聞いてもらえませんか?」

「・・・・・え?」

「僕の話を聞いて欲しいんです。お願いします」


ドクンッ・・・・


心臓が急に速くなる。

彼は一体何を話そうとしてる?
今目の前にいる男性は誰?
まさか・・・まさか記憶が戻ってる・・・・?

いや、そんなはずはない。
だけど、もしかしたら何かを掴みかけているのかもしれない。

この奇妙な同居生活にピリオドを打つためにも、
最後に一度きちんと彼と向き合わなければならないのかもしれない。
一体彼が何を話そうとしているのか知る由もないけれど・・・・


「・・・・・わかった」


気が付いたらそう答えている自分がいた。
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