サヨナラからはじめよう
・・・・・正直怖い。

一体どんなことを言われるのか、全く想像がつかない。
それでも笑って楽しめるような話じゃないような気がする。

でもここまできたら腹をくくるしかない。
聞かなければ聞かないで気になって仕方がないだろう。

意を決して前を見るとあいつもじっと私を見つめたままでいた。

「・・・・わかった」

私が頷くと、司はほっとしたように息を吐き出して微笑んだ。

「じゃあ行ってくるから」

いつものようにそう言って家を出たところで司が言った。

「今夜はオムライス作って待ってますから」

ハッとして振り返る。
閉じかけたドアの隙間から優しく微笑む司の顔が見えた。
次の瞬間には扉は閉まっていた。


ドクンドクンドクン・・・・・

今のはどういう意味?
偶然?それとも・・・?

・・・・何にせよ全ては今夜わかること。
それはすなわち司とのこの同居生活に終止符が打たれるということ。

鳴り止まない胸の鼓動を抑えながら、寒空の下を足早に進んでいった。
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