サヨナラからはじめよう
「うしっ、気合い入れっぞ!」

パン!と両頬を叩くと、気持ちを入れ替えて仕事に取りかかった。

今日はとても大切な仕事が待っている。
自分が企画に参加していた和装インテリアの展示会についての打ち合わせだ。
イベントホールの担当者である齋藤さんと細かい詰めをしなければならない。

昔からインテリアの中でも和に関するものが特に大好きだった。
小物から家具に至るまで、自分の足でお店巡りをしたり雑誌を買い漁ったり、
とにかく色んなものを見て回った。

今は何でも洋物が好まれる時代になったけれど、
だからこそ和の良さが引き立つんじゃないかと思っている。
繊細で丁寧な仕事は日本人の良さを最大に表現している。
もっともっと多くの人にその魅力について知って欲しい。
それが私の夢でもあった。

今回展示会という形でその夢にほんの少しでも携わることができ、
並々ならぬ思い入れをもって取り組んでいた。

だから正直司がいてくれてかなり助かったのだ。
もし無理をしていたら下手すればこの仕事に穴を開けてしまったのかもしれないのだから。

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