サヨナラからはじめよう
危ない危ない。
洞察力の鋭い中村君ならすぐにばれてしまうかもしれない。

いや、別に捕まるような悪いことしてるわけじゃないんだけど。
全然違うんだけども。
でも、でも。

自分の中での消化しきれない複雑な感情を掻き乱されたくないのだ。

職場くらい、何も考えずに過ごしたい。
余計な雑念を振り払って仕事に没頭したい。




だって、家に帰れば嫌でも・・・・







「涼子さん、お帰りなさい!お疲れ様でした」




エプロン姿でお玉を片手に満面の笑みでお出迎えをする男、
南城司。

この男が待っているのだから。
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