サヨナラからはじめよう
「涼子さん、やっぱり熱があるじゃないですか。お願いですから休んで下さい。僕がいるせいで出掛けるんなら今すぐ出ていきます。だから無理しないでくださ」

ドンッ!

言葉を遮るように思い切り突き飛ばした。

「今更何言ってんの?偽善者ぶらないで!」

「涼子さん、待って!」

引き止めるあいつをなんとか振り切って家を出た。
追いつかれないように必死で走った。


「はぁはぁはぁ・・・」


苦しい。
呼吸が苦しい。
・・・・・胸が苦しい。

あいつが優しさを見せる度に、その苦しさが増す。


どうして。
どうして今更現れたりなんかしたの。
二度と会わなければこんな苦しみ思い出すこともなかったのに。


神様のいたずらは残酷すぎると本気で思わずにいられなかった。
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