サヨナラからはじめよう
「・・・・はぁ、わかったわよ。会社に連絡するから手離して」

そう言うと司はすぐに解放してくれた。
ベッドに転がったままのスマホを手にすると、着信のお知らせがある。
そういえば着信音で目が覚めたんだった。
履歴をチェックすると中村君から2件の電話と1件のメールが残されていた。

『涼子さん、具合はどうですか?気になって連絡しました』

そう書かれたメール。
やっぱり彼にも調子が悪かったのはお見通しだったようだ。
電話をしようかと迷うがもうこんな時間だ。彼はきっと既に出社しているだろう。
メールで今日は休むことを伝えようと手を動かした。

・・・・のはいいのだが、さっきから司の強烈な視線を感じる。
な、何?私何かした?
私の動作をじーっと見つめているのに耐えられなくなり、たまらず司に背を向けてメールを打った。
それから会社にも休む旨を伝えてひとまずほっとする。

「良かった。今日はちゃんと休んでてくださいね」

その言葉にハッとして振り返った。
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