恋愛奮闘記
stage.12



「うわっ」

ガラガラガラガシャーン!

ああもう最悪…。



朝、開店前の掃除中。
手が滑ってカラー剤達をぶちまけました。

「…大丈夫っすか、矢野さん」

「岩佐くん、大丈夫。大丈夫だから、聞きたいことはあるだろうけどお願い今は何も聞かないで」

「はあ、まあ…朝からそんなにてんやわんやしてる理由を聞きたいですけど聞かないでおきます」

「ありがとう…それも優しさの内だからね」



矢野司、24歳。

好きな人にキスをされました。





「わあああああーー!!!」

「矢野さんうるさい!」

「わあっ!ごめんなさい!」

やばい思い出した!まじ集中出来ない助けて!



全部鮮明に思い出せる。それが夢じゃないと証明してる。

あの感触、早坂さんがゆっくり近づいて来たときの表情、手のひらの熱さ…。



「〜〜〜〜〜っ!!!!」

は、恥ずかしい!もう色々と!

キ、キスなんて初めてじゃないのに!
なんでこんなにドキドキしてるの!
一晩たってもなおこの緊張感!



そう、あれは昨日のこと。

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