恋愛奮闘記
stage.13




それから何日かたったある日。



「矢野、ちょっと」

店長にバックルームへ呼ばれた。

「はい、なんでしょうか」



わざわざバックルームで話すということは、あまりみんなには聞かせられないことかもしれない。

少し緊張する。



「あの人、小金井さんいるじゃない?」

「小金井って…はるかさんの父親ですか?」

「そう、その人」



小金井さんはこのビルの管理会社に勤めていて、このお店の担当をしている。そして、早坂さんと色々あったはるかさんの父親でもある。

はるかさんは私がこのお店にいることを知り、父親に頼んでわざと営業再開をさせないという嫌がらせをしていた。

私としてはあまり思い出したくない人物なので自然と顔が強張った。

店長は、なかなかお店の営業許可が下りなかった時に直接話したこともあると言っていた。そして、社内でもかなり問題を起こしている人物だと聞いたらしい。

無事にお店は開店したとはいえ、これからも気を付けたい存在ではあるのだ。



「その人がどうかしたんですか?もしかして、また何か…?」


< 143 / 200 >

この作品をシェア

pagetop