恋愛奮闘記



それからしばらくしてお店を出た。



家までの道を歩きながら、また何気ない会話をする。

明日からの仕事のこと、
天気のこと、
家の近辺のお店のこと…。



なんとか、なんとか笑顔を保つ。
動揺を隠す。
俯かないようにする。




家の前についたところで二人とも足をとめる。


「また、一緒に飲みにいこう?」


早坂さんが声をかけてくる。


「はい!是非また行きましょうね!私はいつでも大丈夫なのでっ」


私はね。


「良かった。また誘うから」


私の大好きな笑顔を残して彼は自分のマンションへ入っていった。



私も自分の家へ入る。

鍵を閉め、電気も付けずにベッドに倒れこむ。




…どうして?




頭から離れない。



あの後、トイレから戻ってきた早坂さんは携帯を見て驚いていた。





…そして、すごく悲しそうな顔で少しだけ笑った。



泣き顔よりも悲しい表情があること、

目の前で知ってしまった。




< 60 / 200 >

この作品をシェア

pagetop