紳士な課長、愛をささやく

***

片倉課長の知り合いのイタリアンのお店で晩ご飯を食べた。
料理すべてが美味しくて、お腹いっぱいだったのにデザートのブルーベリーヨーグルトのジェラートまでペロリと食べてしまった。

同期会では毎回割り勘だし、そのくせで自分が食べた分は支払おうとした。
だけど、片倉課長は「俺が誘ったんだから」と受け取ってもらえなかった。

店を出る前に時間を確認したら二十一時を回ったところ。
帰るにはまだ早い時間だ。
もう少し課長と一緒にいたいけど、そんなワガママは言えない。
片倉課長を見上げると、私の視線に気づき困った表情になった。

「そんな顔されると離したくなくなるんだが」

苦笑いしながら言われ、首を傾げる。

「そんな顔って……?」

「まだ帰りたくないって顔」

言われた瞬間、顔が真っ赤に染まり慌てて頬を両手で隠した。
香苗から私の顔は分かりやすいと言われたことを思い出す。

「じっくりと進めるつもりだったけど、今日はもう帰せそうにない」

そう言って私の両手に片倉課長の手が重なり、熱を帯びた瞳で見つめられた。
その言葉の意味が分からない年齢じゃない。
多少の恥じらいはあるけど、今は自分の気持ちに素直になる時だ。

「私も帰りたくない、です」

片倉課長は驚きの表情を見せたあと「可愛すぎる」と呟き、私の唇にとびきり甘いキスをした。


end.
< 32 / 32 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:286

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
幼なじみの哲平に淡い恋心を抱いていた美桜。 しかし、ある出来事をきっかけに二人の関係は壊れてしまう。 関係修復もできないまま、美桜は両親の離婚によって 引っ越すことになり、哲平とも離れ離れになった。 それから約十二年後。 過去の傷から、二度と会いたくないと思っていた哲平に 運命のような再会を果たす。 そして、ひょんなことから 酔った勢いで一夜を共にしてしまった。 さらに、美桜が初めてだと知った哲平は 『責任をとる、結婚しよう』と真っ直ぐに告げてきた。 戸惑う美桜とは裏腹に、好きという気持ちを隠すことなく 甘やかしてくる。 そんなある日、哲平は美桜がストーカー被害に 遭っていることを知る。 美桜を守るため、哲平は同居を提案してきて――。 夏木美桜(なつきみお) ✕ 鳴海哲平 (なるみてっぺい) 止まっていたはずの二人の時間が、再び動き出す。 再会から始まる、溺愛ラブ。 2026.6.5~ *以前、公開していた話の改稿版です*
初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

総文字数/107,135

恋愛(純愛)180ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私が彼氏と別れたことを知った同期が開いてくれた飲み会の後 ひょんなことから上司の久住部長と一夜を共にしてしまった。 私は一夜の過ちとして なかったことにしようとしたのに 久住部長はそうは思ってないみたいで……? 『ジョイントイ』の御曹司 久住恭二 (32歳)  × 『ジョイントイ』営業部 羽山琴葉 (25歳)   ―――実は初恋の人との再会ラブ――― 2025.2.2 完結

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop