秘密が始まっちゃいました。
「それにしたって、荒神さんってかっこいーよねー」


食事も終盤、あちこち行ったり来たりの会話が、再び荒神薫の話題に戻った。


「日冴は問題児係の先生って感じかもしれないけど、みんな彼と絡めるのが羨ましいって言ってるよー」


好きで絡んでないんですけど。
私は二杯目のグラスビールを飲みながら渋面になる。
ちなみにみんなっていうのは、この会社の若手女子社員のことね。


「仕事で絡む人なんて多いんじゃないの?あちこちの部署に迷惑かけてそうだし」


「関わる人は結構いるけど、日冴みたくとっつかまえて叱るって関係性はさぁ。レアケースだよね。なかなかできないよ。
なにしろ……」


瑠璃が言葉を切ってむふふと笑った。


「荒神さんはキヅキ電産(株)の抱かれたい男ナンバーワンだもん!!」


瑠璃の憧れたっぷりの視線は宙へ。
私は呆れて深ーくため息。


「それさー、いつからのシステムなんだろうね」

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