秘密が始まっちゃいました。
平野部長が遠慮がちに言う。


「いや、実際問題ね、荒神くんに任せると営業部御用達のお店になっちゃうだろ?……こう、酒飲んで騒ぐためのお店みたいな……。
総務部は行きたくないし、一販課の女子も不参加になるようなお店なら、せっかくの懇親会の意味がなくなっちゃうのかなと」


「それで私ですか?」


「望月くんなら、荒神くんに意見言うの慣れてるだろうし、今回の懇親会に最適のお店を見つけられるんじゃないかと……見込んでお願いしてます」


だーかーら、平野部長、部下に頭を下げない!弱気過ぎる!

平野部長の哀願が出ては仕方なく、私は頷く。

ま、いっか。

ネットでパパッと宴会プラン付きのお店探して、荒神さんにメールすりゃ。

あの人、仕事以外はめんどくさがりっぽいし、どうせ幹事も押し付けられたんだろうし、それで話は済むはず。


席に戻ると、メールサーバにメールが来ている。

kogami@kiduki……

あ、荒神さんからだ。
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