秘密が始まっちゃいました。
『あちら様はすごく日冴ちゃんのこと好印象みたいよ。お写真は成人式のものだから、ちょっと前のだけど』


それって9年前の写真を見せたってこと?
詐欺にならないかい?好子おばちゃん。


『ね、日冴ちゃんがなかなかお返事くれないから、もう今週の土曜にお日にちも迫ってるの。会うだけ会ってみない?気軽な感じでね。手紙でも書いたけど、丸菱商事の若きエリートなんだから!知り合っておいて損はないわよぅ』


好子おばちゃんは、独断先行でだいぶ事を進めていたらしい。今週末って……、普通私の意見ありきでスケジュール組まない?
ま、郵送された写真の封すら切っていない私が言えたことでもないけど。

他にも突っ込みどころは山のようにありそうだった。

しかし、私は深呼吸をすると、はっきりと答えた。


「うん、わかった!今週の土曜ね!行きます!」


黙って見守っていた荒神さんが目を向く。
何か言いたげに口があわあわと開くけれど、私はそれも無視。

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