秘密が始まっちゃいました。
月曜の大喧嘩を思い出す。

あんなことになるなんて思わなかったよ。
彼を避けて怒らせたのは私だ。しかし、いくら苛立っていたからって、あの言い草はないでしょ?

私の気持ちガン無視で、早く俺のモンになれとか、俺と付き合わないなんて卑屈だとか、絶対に別れないとか……。

あの腹黒中年!
絶対、私を営業相手と同じに扱ってる!
駆け引きでどうにかしてやろうって魂胆が嫌なんだよ!

……でも、あらぬ疑惑で荒神さんを傷つけたのは私だ。
荒神さんが一瞬見せた悲しい顔が忘れられない。
あの人がいくら器用だといえ、涙がお芝居だなんて……言い過ぎだ。


煩悶し続けたここ数日。

実際、私は荒神さんと会っていない。

間の悪いことに荒神さんはあの日の夜から上海に出張している。

客先で不良部品が出たのだ。
製造ラインがストップするくらいの重大な不良で、荒神さんはお客と仕入れ先メーカーの担当者を連れて、急遽上海の製造工場に向かった。

この業界の営業マンにはよくあることなんだけど……。
< 288 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop