秘密が始まっちゃいました。
私はバレないように唇をきゅっと噛み締める。
きりっと彼を見返し一言。


「頑張るなら、まずは公私ともに完全禁煙からよろしくお願いします」


荒神さんがドサッとカウンターに突っ伏した。


「うおぉ、それはハードル高すぎだわー」


やっぱり、からかってたのね。
わかってたけどさぁ……。
ま、よかった。ワケのわからない空気を退けられた……。


「これ飲んだら帰りましょうか。明日もあるし」


私はお開きムードを出すために、残った梅干サワーをぐっとあおる。


「そうだな。じゃ、日取りはお盆明けで明日中に再調整ってことで」


「予約は私がしますので、メニューの要望があればお早めにご連絡願います」


「な、望月、これって俺たち初の共同作業だな」


「紛らわしいこと言わない!一緒にする仕事として初ってことでしょーが」


居心地の良い店で流れる奇妙な時間も、もう少しで終わる。

残念……には感じないぞ!



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