秘密が始まっちゃいました。
「ううっ!!」


私は口を押さえてうずくまった。


「もち……づき?」


荒神さんが鼻にかかった声で問いかける。
私はうつむいたまま、ささやいた。


「荒神さん、そのまま下向いてて。私は酔って吐きそうなので、私をこの場から連れ出してください」


荒神さんは、私が出した助け船の意味がわかったようだ。
慌てて目元をぬぐい、頷くと、私の肩を抱くように立ち上がった。

そして、顔を私の頭で隠し、素早く会場の座敷から脱出。

途中、同僚から「どうした?」的な声がかかる。

荒神さんに注目されないように私は「今にも吐きそうです」という迫真の演技をし続けなければならなかった。
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