秘密が始まっちゃいました。

「なんだよ」


私が呆れていると思っているのか、荒神さんはふてくされたような声だ。
私は思い出した目下の難題を口にする。


「福谷と、仕入グループの真壁瑠璃。二人の結婚式に出席するんですよね」


「あ……」


荒神さんが思い出したように口を開けた。

来月末に行われる私の同期カップルの結婚式。
福谷は荒神さんの直属の部下だ。結婚式には招待してあると二人から聞いている。
しかも……、


「荒神さん、招待状をちゃんと見ました？」


「……イヤ、もらったまんま。封開けてない。福谷に「いいですか？」って聞かれたからオッケーって口で返事した……」


「その「いいですか？」って意味が別にありますよ！福谷、言ってましたよ？荒神さんにスピーチをお願いしたって!!」


「え？ええええ!?」


さすがの荒神さんも顔色をなくす。