君とカプチーノ。




決意を 決めた。



バイトが終わり
ロッカールームへ入ると
先輩の痛い視線が
私に集中した。



大丈夫 だって
これが最後だから。



指先は少し震え心臓が
どくどくと脈を打った
冷たい視線を
伏せた瞼で返し
私は店長の元へ向かった。



がらがら



おそるおそるドアを開いて
周りを見渡す。
ソファーでパソコンと
向かい合っている店長を
見つけた。



「失礼します」



バイトの先輩や後輩は
とても私に対して
冷たい対応だったけれど
唯一店長だけはやさしい。



いつもみたいに店長は
ニコニコ私に微笑みかける
どうしたの?と
とても優しい声で
私に問いかけた。



ピリッとした沈黙が流れる
今は店長のこの優しい
笑顔がつらかった
だけど 言わなかったら
きっと 後悔する。



店長 ごめんなさい



少し胸を撫でおろした



大丈夫



私の瞳は真っ直ぐ店長を
捉えた。
「いきなりで本当に
すみません。今日でここを
辞職したいと思っています
学校生活で忙しくなるし
迷惑ばっかり
かけてしまうし私に向いて
なかったみたいです」




そう告げ終えた瞬間
今まで胸にたまってた
もやもやが
ふわっと軽くなった
気持ちになった。
それと同時に店長に
なんて言われるだろうか
という不安が私を襲った



"ゆとり世代が"
私が店長ならばきっと
そう思うに違いない。



怖い



しかし 店長の口から
出た言葉は
私の予想と裏腹だった。



「そっかそっか~
そういうことなら
仕方ないねえ
お給料だけ渡さないと
いけないから
その日だけお店おいでね」
ちょっと困ったように
笑って
気持ちが落ち着けば
またいつでもお店に
お買い物においでと
優しく言って
再びパソコンの画面に
向かう店長。



やっと言えた安心感で
心がたまらないぐらい
幸せな気持ちで
いっぱいになった。



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