ツンな私とデレな君。
間接kissと太陽
「暑……」

あたし、藤崎亜梨沙(ふじさきありさ)はハンカチで汗を拭う。

自販機で買った飲料水をごくごくと喉を鳴らして飲みながら電車を待つ。

今日は猛暑だ。
熱中症で運ばれる人が多数。…なんでこんな暑い日まで学校に行かなければならないのだろう?こんな暑い日はクーラーの効いた涼しい部屋でのんびりテレビでも見たい。
私は、地球温暖化にイラついた。(地球温暖化の原因は私たち人間なのだから仕方が無いのだけれど。)
そんな事を考えていると、電車が来た。私は電車に乗り込み、急いで座席に座った。目の前には明らかに持ちづらいだろ。と言いたくなるほど、デコられたカバーを付けたくなるスマホをもつJKがいた。思わず視線がそちらに向かったが、無関心を装った。すると、痛いほど感じる視線を感じた。ちらりと少し上をみているとワックスで髪を固めたおじさんが見ていた。いかにも、席を譲れ。と言いたそうな感じだ。「私はお前はまだ、席を譲るほど、歳をとってないだろ!」と軽く心の中で突っ込んだ。私だって、暑いし疲れている。座席に座る権利はあるハズだ。私は、スマホを持ち、イヤホンを耳に装着した。目をつぶり曲に聞き入っている。フリ。
おじさんは、なにか言いたげだったが、どうせ、最近の若者は……とかなんとかかんとかだろう。大人の言いそうなことは安易に予測できる。

ガタゴトと揺れる車両。くるくると変わる景色、暑苦しいサラリーマン。お堅い感じの仕事をしてそうなおじさん。派手なおばさん。きゃはははと鈴の様に笑う女子高生達のスカートからすらりと延びる長い脚。
いつもの日常。なにも変わってないような日々。その中で、変わる小さな事。例えば、今日はいつも乗ってる人が居ない。とか。私はそんなことを気づけてはいない。だから、きっと大きな違いにも気づけないのだろう。そこに、大きな荷物を持った大人一人と、高校生のような男の子と、中学生くらいの女の子と、小学生くらいの男の子が乗り込んで来た。旅行だろうか。楽しそうに話している。


私はそんな事を考えながら目を閉じた。少しずつ変わる変わらない日常を今日も過ごしている。

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