ここ、恋こい。
出会い
「ふぁぁ……眠い……。」

手で隠しきれないほどの大きな欠伸を一つして、もそもそと布団から這い出る。

昨日、夜遅くまで本を読んでいたのが駄目だったんだ、と、軽く反省する。

私は、神城 遥花。

今日から花の女子高生になる。

「って、遅刻遅刻───っ!!」

登校初日から遅刻なんて、悪目立ちもいいとこだ。

ふと、昨日読んでいた本が目に止まった。

タイトルは『鳥山石燕 百鬼夜行図』。

タイトルを読んで、思わず笑みがこぼれる。

そう、私は大の妖怪好きなのだ。


小さな頃から幽霊を見る体質があるからか、彼らの独特な姿形が不思議でたまらなかった。

それを知るために、妖怪の本など読んでいくうちに、いつの間にか、その魅力にすっかり取り付かれてしまっていたのだった。

「これも持っていこっと!」

私は本を片手に学校へと向かうのだった。
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