EXCAS

 格納庫に着くと世間話をしている二人が目に付いた。
 どうやらリンは眠っているよう、彼女の腕の中で安らかな寝息を立てていた。
「あ、お疲れ様です。話……どうでした」
「後で話す。取り敢えず、外に出よう。紹介したい奴らがいるしな」
 連れてきた奴らに向く。
 亮太とランサー、詩絵瑠。
 この三人を正式に紹介してやりたいと思ったのだ。
 しかし、なにやら驚愕の表情と興奮醒めやまぬ二人が、
「「お父さん!?」」
「墜とすぞ」
「落ちるじゃなくて墜ちる?!」
「おかしな言語が出てきましたよ!」
 喧しいな。ああ、確かに喧しい。
 そして視界の隅では乗ろうとする亮太が、
「「げぶぅ!?」」
 瞬殺だった、雑魚も同然だった、裁かれて当然なのだ愚か者共め。
 右のコークスクリューと同時に捻りが加わった左の抜き手がそれぞれの鳩尾に決まる。これで目覚める事はない。
「悪の栄えた試しなし」
「意味不明だよ」
 懐かしの攻撃が決まった。
 お約束の詩絵瑠のツッコミが入った。
 それだけの事が、こんなにも嬉しかった。
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