EXCAS

kyrie eleison

 ゼムが含まれた七人の隊長が陣を組んでいる。
 それぞれが尉官クラスで、話の内容は少なくとも中佐より理性的。感情に支配されず、責任や暴挙的な発言を咎めない。現状を打破するために、生き残った部隊員も同じ空間で案を練っている。
 以前の敵襲撃でまだ深い傷跡が残っている廃墟となった基地。
 機体はある程度離れた場所に置いている。
 戦場から遠い事が幸運か、敵に気付かれる事はない。それもそのはず、ショウが前線で戦っているのだから、この奥まで来られるはずがない。
 しかしその奮戦、知る者は零七小隊の者だけ。
 作戦はまだ決まらない。
 人数は集まって団結力はあって。
 出来る事はない。何一つ。
 悪くない頭を振り絞り、明晰な頭を回転させ、学力の低い脳を唸らせる三人。
 彼が必死に時間を稼いでくれていると知る友人たちは、無駄にしたくないから出来る事をする。
 確実に現実にしなければならない、勝利を。
 沈黙という事を知らない相談場で、ふと亮太が違和感に気付く。
 この場にいなければならない者がいない。
 姿が見えなければ、余計気になってしまう。
 危険な抜け駆けをしようとしていただけに、沸々と不安感が鎌首を擡げる。
< 196 / 493 >

この作品をシェア

pagetop