EXCAS
 果たして誰に向けられるのか。
 犠牲になる大勢の兵士。
 恐怖に屈すしない無感情な機械兵士。
 自らの部下を、戦友を失った七つ目の部隊。
 自らの隊長に付き従う上等な機械兵。
 亡き友を思い、心臓の鼓動が聞こえないほど空虚な思いに縛られた少年。人工の青空が目に染みる、悲劇の主人公を演じる彼。
 所属する組に不信感を抱き、己が誇りと異なる道と不安を感じる青年。閉ざされた四角い部屋の中で、命ぜられるまま歯牙を研ぐ悪役。
 心の支えを失い、黄昏より暗く深い思考に呑まれ流され続ける少女。地獄へ突き落とす相手を見つけ、血に濡れた涙を流す悲劇の少女。
 誰彼が次の回では主役になる。
 大事な犠牲者、大事な功績者として。
 しかし当日にならない限り誰も知れない。
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