EXCAS
幕へ向けての閑話

宴の席で

 いい気なものだと、嘆息して宴会場を出るショウ。
 広いその場で下品に笑う、そこにいるのは彼の知らない者ばかり。これからの事を考えれば、悪酔いするのは最悪だろう。
 士気を高めるのはいい事だ、しかしそれで大きな隙を作るのは愚の骨頂。
 彼らは先を見えていない。この瞬間に襲撃に遭えば、十分と待たず全滅するだろう。
 最終決戦の時はすぐそこにある、少しでも緊張を解さないように。

「よう! なに辛気臭い顔してやがる!」
「ヴァイフェさん、酔っているんですか。酒臭いです」
「ちゃんと意識はあるぜ、ほろ酔い気分なだけさ。どうだい、一緒に飲まないか?」
「遠慮しておきます。未成年だし、第一に戦争中。隊長たちに怒られますからね」
「その隊長たちが立案者だぜ? あてられた部隊室でみんな酒盛り中だ」
「何を考えているんだか」
「いいじゃないか。下戸でもないだろう、一緒に飲もうじゃないか」
「……少しだけですよ? あまり飲ませすぎないでもらいたい」

 苦笑しながら案内された部屋は、少しだけ酒臭い。確かに悪酔いしている者はいないだろう、頬に赤みが差し気分が高まっている程度。
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