EXCAS
 理解できず、その瞳が好きで、どうしようもない震えが止まった。
 すべて見通し、だからこそ見下し、生涯相容れぬと罵った。
 三者三様、この世界に馴染み始めていた。時流に外れた世界に漂っていた。

 己が過去の人物を見るのは気分がよかろう。この愚か者どもが、どうしてあのような道を行くのかと。

 何を自虐的な。吾が汝らを知ると言えるのか。
 無知極まれない魔術師とも知れぬぞ。

 戯け。貴様の時代がどうなろうが知らん。だが、わしらは歴史に傷つけた者。
 魔術師を名乗るのならば、知らなければおかしい。

 ほう? 素人同然の若輩者でも知っていると。
 なるほど、自虐ではなく自慢だったか。流石は老獪。面白き語りをする。

 出来るのならば貴様のイマを消してやりたいわ。
 何故かな、どうしようもなく嫌える。この娘と、同等に。

 当然ではないか。
 怨敵に肩入れする、一介の魔術師だから。

 ――――嗚呼、愚劣極まりない。
 ならば見ておるがいいさ魔術師よ。
 貴様が作り出した歪曲した世界で、己が死に様を!

 断末魔の宣言により、これ以上の干渉は許さないと消されてしまった。
 ノイズが現在の世界に走り、大陸も海も消えてしまう。

 残った黄昏の海は二つ、敵愾心のない二人でも、交わる事は許されない。

 それが掟、世界を覆している大罪人の譲歩。
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