EXCAS
 魔剣とその主の名を混一した御名。守護者は、ここに契約者の命に応じ馳せ参じた。
 驚愕と恐怖に震えるのは、おそらく彼ら以外の存在者。理解しながらも理性がそれを許さず、呆然と虚空を見つめる脆弱者が一人。決して折れない心を抱いて、譲れないと意思を固める者が一人。

『答えろ、魔術師! 契約者、守護者を従えた者よ! それが元凶と知りながら、どうして守る事が出来るのだ!』

「言ったはずだ。あんたは、本当に何もわかっていない」

 黒竜王の顎が開く。灼熱と黒濁と月光が入り混じった、その息吹(ブレス)。
 架空の画面に映った顔に目掛けて、渾身の叫びに応じて轟いた。

「大切じゃないものなんてない! だから、こんなに辛いんだ!!」

 その思いを代弁せよ黒竜王、長く続く鎖を断ち切れ。
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