EXCAS
エピローグ

波打ち際の雨

 波の音が心地よい。
 小さなカップに注いだ紅茶の香りを楽しみながら、静かにゆっくり嚥下する。
 何年も前から、それが娯楽。
 朝焼けか、夕焼けか。
 どちらとも取れない明るい陽。
 小さな星で唯一好きな景色。
 振り返れば思い出す。
 いつの日だったか、それはきっと些細な事。
 それを思い出としてしまっておけるのならば、忘れる事がないのであれば。
 きっとそれは些細な事。
 それはきっと尊い事。

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