EXCAS

「甘い甘い~。よくあんな事言えるよ、お父さんたち」

「あら、わたしはいいな、ああいうの。甘いものは別腹なんだよ、シナ」

「? 言葉は食べられないよ」

「……お子様」

「なんだよ、年は変わらないじゃないか!」

 晴れた虹の下。四人家族が笑っている。
 戦争は終わって。物語は続いている。
 家族が、こうして行き続けている限り。
 人工物ではなく、天然の。
 水があれば、そこから虹は出来る。
 それは、何処にいても見られるという事。水さえあれば。
 だから彼らもまた、いつまでも笑っていられるという事。
 この大切な人がいれば、例えそこがどこであろうと笑っていられる。
 この幸せがあれば、例えそこがどこであろうと笑っていられる。
 幕が、ゆっくりと閉じていく。
 この日もまた、虹が綺麗だった。




FIN
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