EXCAS
『最終確認だ。『TYPE00』を誘い出すための優先事項は』
『適性値が高い十年代の生命体です、大尉』
 黒いEXCASを十数体引き連れた蒼い機体は頷いた。このEXCASは完全な戦闘型。魔術兵装『DIS-PPK』と『DIS-AUG』に、陽電子式『DIS-VANISH』を装備している。
 過去の銃器を元に魔術兵装用に改造され、これは機体が内包する魔力が底を尽きるまで無尽蔵だ。VANISHは超圧縮されたビーム砲。魔力消費が激しいが量産されたEXCASの魔力では驚嘆脅威となる。
 人間型凡用のEXCASは二メートルほどの体長だ。しかし戦争に用いられるEXCASは三十メートルで作られている。人が駆る機動兵器と同形。ただし性能は桁違いだ。
 人型機動兵器『Organize Soldier』通称OS。これらは実弾兵装、光学兵器を積んだ大気圏内・外共に運用可能な機動兵器で一般の兵士が使用する。不確定要素の多いEXCASは使いたくない、そう思う国は存外に多く戦力差はあってもこちらが主流。
 ステイ零四に進行している部隊の六割はOSだ。人間の形を模して、背中の翼型バックパックで飛行を可能とし。宇宙空間では各部位のバーニアで進行と旋回を。頭部の自動小銃と実剣は標準装備。他に実弾やビーム式のライフル、盾と様々な武装がある。今回は基本的なライフルと盾の標準装備。数は半々で残りの半分が実弾形式だ。
 蒼いOS。通常は緑系統の色で構成されているが、こうした異質な色をした物は指揮官機と決まっている。性能は当然、パイロットの腕も桁が違う。大尉と呼ばれた蒼い機体の中から聴こえる、その声は青年の物。
『市民は貴重だが、作戦だ。破壊対象は戦力所有者、軍関係。いいな、ACE』
『了解です、ガイア隊長。タンザナイト部隊、出撃致します』
 宝石の名を冠する部隊紋章が入ったフラッグ。背負ったACEの号令下、EXCAS部隊が進行していく。宇宙空間と内部を隔てる壁が破られ、高速で黒影が舞う。それ狙い、入口を張っていたステイ零四の部隊が一斉射撃を繰り出した。
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