きらいだったはずなのに!

 茉菜は小柄でまん丸の目がかわいい女子だった。


 肩につくかつかないかくらいの黒い髪はいつもまっすぐでつやつやで、茉菜のかわいらしい雰囲気に合っていたと思う。


 茉菜は明るくていつでも笑ってた。


 周りにはいつも数人の友達がいて、その輪の中心で笑ってるひまわりみたいな子だった。


 クラスが同じでも席が隣になるまでは喋る機会なんてなかったから、いつも楽しそうに笑ってるかわいい子、くらいの認識しかなかった。


 だけど、一年の夏休み明けの席替えで茉菜と席が隣になり、そこからよく話すようになった。


 喋ってみるとかなり気さくでやっぱり明るくて、そしてなにより近くで見る笑い顔がすごくかわいいと思ったのを、いまでも覚えている。


 性格も俺に近しいものがあって会話も弾んだし、なによりテストの点数で競い合ったりとかハマってる音楽の話とか、そういう毎日の小さな会話が本当に楽しくて、いつの間にか俺は茉菜のことを好きになっていた。


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