きらいだったはずなのに!

 内容はどれも他愛もないこと。


 『課題終わった?』とか、『学校いつから?』とか、『駅前に新しくできたスイーツ専門店に一緒に行きたい』だとか。


 あとたまにわんちゃんの写真が送られてくる。


 あたしはそのどれもに愛想のない返事でメッセージを返したり、必要のないときには返さなかったりで対応していた。


 わんちゃんに罪はないから、写真が送られてきたときだけはいつもよりちゃんとした返事を送ったけれど。


 だって、思っちゃったんだ。


 何度考えても桐島さんが好きだし、その事実は変えようがないってこと。


 あたしが桐島さんを好きでいる限り悠斗を好きになることはないし、悠斗とどうこうなることもないってことを。


 あの日悠斗があたしに『頑張りたい』と言ったとき勝手にしてなんて言ったけど、いまとなったらそれは無責任な言葉だったと思う。


 あの時自分の気持ちにはっきり気付いてなかったからそう言ったけど、桐島さんへの気持ちに気付いたいまは、それはやっぱり悠斗をキープしてるともとれる言葉だったし、気持ちにこたえられないのに悠斗と普通に接するのは無理だと思っちゃったんだ。


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