きらいだったはずなのに!

「自分で責任をとれないようなことはしないこと。でも、一番は、後悔しないこと」


 お母さんはそう言って、あたしの肩を両手で力強く叩いた。


「……お母さん、応援してくれてるってこと?」


 教師と生徒、それも密室で二時間一緒にいるのに、なにかあったらと心配じゃないのかな。


「もちろん心配だけど、お母さんは茉菜を信じてるから」


 そう言ってまたあたしを安心させるみたいにお母さんは笑った。


「でも、教師と生徒ってちょっと禁断っぽくない? 年も離れてるしさ。まあ、桐島さんかっこいいし付き合えるわけないけどさあ」


「あら、最初から諦めてたらそこから進まないじゃない! それに、いまは大きく感じる年の差も、もっと茉菜が大きくなったらそんなの屁でもないわよ」


 お母さんは変なところで寛大だ。


 ふつう教師と生徒の関係の娘をここまで応援する?


 でもあたしはそんなお母さんだから大好きで、お母さんがあたしを信用してくれているのと同じようにお母さんを信じることができるし、心配させるようなことはしたくないって思うんだ。

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