きらいだったはずなのに!

「自分の状況わかってないみたいだから言うけど。確かにおまえみたいなやつの成績上げたらすげえ業績だよ。給料だって弾むし、名も売れるし。カテキョっつーので稼いでる俺らからしたら“当たり”なんだよ。……けど、知ってるか? おまえを引き受けたのって、俺しかいないんだよ」


「は……?」


 なにそれ、なに言ってんのこの人。


 なおも意地の悪い笑みを浮かべてあたしを見る目の前の男、桐島さん。


 言ってることが理解できないんですけど。


 だって、桐島さんの言う通りあたしが当たりなら、カテキョ引き受けてくれる人なんかたくさんいるはずでしょ?


「だから、お前の成績が目も当てられないほどひどすぎて、俺以外だーれも引き受けようとしなかったの。おわかりかな、おバカさん?」


 嘲笑うかのような彼の言葉に、あたしは目を点にするしかなかった。


 怒りすら忘れて、ただただ呆然。


 彼の言葉は、勉強のスペシャリストでさえもお手上げってことを意味してる。


 あたし、そんなに救えないやつだったってこと?


 なんとなく自分でも気付いてはいたけど、まさかここまでとは……。


 さすがに落ち込むし、救えなさすぎるんじゃないのか。


 終わってしまった。


 ……あたしの人生、ジ・エンド。




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