きらいだったはずなのに!

「ミヤコちゃーん、褒めて! 全教科、今までの中で最高得点なんだよ。赤点もなかったしっ」


 これはさすがのミヤコちゃんでも、あたしを褒めないわけにいかないでしょ。


「……すごいね、おめでとう」


「めちゃめちゃ棒読みなんだけど!?」


 ふくれっ面でミヤコちゃんを見ると、彼女の目線はその手にある本に向けられている。


 ちょっと、人が話してるのに読書するとは何事ですか?


 ……まあ、いいや。


 これがミヤコちゃんなんだから、しょうがない。


 ふうっと息をついて、鞄に荷物を詰めて帰る準備をする。


 今日は終業式だから午前放課。


 いやー、あれだね。


 夏休みなんて補習で遊ぶ時間ないって思ってたから、ほんとに嬉しい!


 これぞ努力のたまもの。


 桐島さんにカテキョについてもらったことも大きいんだけど、自分でもカテキョのあとに勉強ちゃんとしてたからね。


 おかげで寝不足だけど、“バカ”のレッテルを引き剥がせる日もそう遠くないはずだ。


「おーい、杉浦。補習は免除だけど、お前には追加課題がたんまりと出てるから。喜んでるとこ悪いけどな」


 ガッツポーズを決めるあたしの頭に、担任の無情な言葉が響く。

< 77 / 276 >

この作品をシェア

pagetop