理論と刀と恋の関係。
それはとても変わった服を着た女性だった。



下ろせばきっと腰あたりまであるであろう、濡れ羽色の髪を頭の高い位置で1つに結い。



灰色の凄く細い袴のようなものと変わった形の羽織の間からは、見たことがない純白の着物。



履物(はきもの)は黒く、つやつやだ。



身長はきっと僕より少し低いくらいだろう。



切れ長で大きな瞳、桜色の頬、ぷっくりとした唇。



綺麗な人だな、と思った。



それにしても、彼女は何者なんだろう?



顔立ちからして、異国の者には見えないし…








…しばらく彼女を観察していると、苛々していた男達が抜刀した。



いつもならここで止めに入るけど、今回は相手の女の人も怪しい。



僕は様子を見ることにした。



刀を向けられた彼女は驚きのような、戸惑いのような表情を浮かべる。



…へぇ、“恐怖”じゃないんだ。



やっぱり怪しいな、と女の人を睨む。



少しして、女の人の雰囲気が変わった。



意志のこもった目をして、刀を構える男達の方に歩いていく。



一体、何をする気なんだ……?
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