理論と刀と恋の関係。

お辞儀は最敬礼角度

* * *




「暇ですねー…」



「…ですね」



あのあと。



そろそろ昼だぜーという新八っちゃんの声に呼ばれて、私と沖田さんは広間に向かった。



いつも通り近藤さん達とお昼を食べて、他愛ない話をして、これからどうしよう、ということになったのだが。



雨だから外に行くこともできないし、道場は隊士で満杯。



仕方なく部屋に戻ってきたのだ。



結局、状況は午前中となんら変わっていない。



「うーん、暇!!」



ついに沖田さんが叫んだ。



私としては、年表を完成させたりとか、これからの行動を考えたりとか、それなりにやることはあるのだけど…



「ちょっと遥花さーん?

何してるんですかー僕が暇してるっていうのに~」



…何かやろうとする度に沖田さんの邪魔が入り、ちっとも作業が進まないのだ。



(絶対この人、小さい頃ひとり遊びできなかったタイプだわ…!)



まったくもう、面倒くさい。



これから、雨で彼が非番だとずっとこうなのかしら?



…え、嫌だわ。



思わず顔をしかめる。



「はぁ…」



何かないのだろうか、彼を大人しくさせる方法は…



(…とはいっても、私はこの時代のひとり遊びなんて知らないし、未来の物を見せても質問攻めにあうのは分かりきってる…)



色々考えてみたのだが、一向に思いつかない。



諦めて耐えるしかないのかな…と遥花が思い始めたそのとき。



答えは、意外なところから出てきたのだった。



「あ、そうだ」



彼女を悩ませている、張本人。



「屯所の中、案内しますよ!」



そう、沖田本人から。
< 155 / 171 >

この作品をシェア

pagetop