理論と刀と恋の関係。
その代わりに、とばかりに私は質問する。



「あなたは誰?これからどこに行くの?」



私が逃げることを諦めたと分かったのか、イケメン君はくすくすと笑いながら答えた。



「僕は、壬生浪士組の沖田総司といいます。

今向かっているのは、僕たち....つまり、壬生浪士組の屯所です」



彼はさらりと言ってくれたけど、私の心の中は大パニック。



(沖田総司…って、あの沖田総司!?

それに、壬生浪士組って、新撰組の前身のアレよね…?)



何となく時代が分かったけど、まだ分からないことが多すぎる。



私が歴女だったらここまでの時点で年号とかまで特定できるのかもしれないけど…残念ながら私は歴女ではなくリケジョ。



日本史なんて中学生以来触れていないし、そもそも小学校や中学校の歴史の授業で新撰組は習わない。



ま さ に 、八 方 塞 が り 。



昔、小学校の時に軽い読書のつもりで読んだ、“日本史の全て”(全3074ページ)とかいう本には新撰組の歴史も書かれていたような気がするけど…どんなのだったかしら。



池田屋事件とか、確か新撰組になってから起こった事件よね…?



あーもう、一息ついたら江戸時代の年表書こうっと。



ほんとは、今は何年ですかって聞ければいいんだけど、さすがにそれは怪しすぎるよね…



あーだこーだと考えていると、沖田さんが立ち止まった。



どうやら、屯所に着いたらしい。
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