理論と刀と恋の関係。
障子って結構音が鳴るんだなぁ…なんて1人感心していると、突然大声が聞こえた。



「っ総司ィィ!!!」



それがあまりにも凄みがあって、反射的に肩がびくっと上がる。



部屋の中から、まさにご乱心状態の男の人が出てきた。



…イケメンだ。



きりりとした眉、鋭い切れ長の目、がっちりとした長身。



沖田さんが甘めフェイスのイケメンなら、この人は凛々しい系のイケメンだ。



…ま、顔の評価はそのくらいにして。



ここが壬生浪士組の屯所であることと、あちらからすれば怪しい奴である私を連れてきたことを踏まえると、きっとこの人が後の新撰組で副長を務める、土方歳三だろう。



私の仮定が正しいのならば、私はこのあと “お前は何者だ” 的な尋問(下手したら拷問)にかけられる。



そこで1つ、いやほんとはまだ色々あるけど、とりあえず超重要な問題は、私が未来から来た人間だということを言うか否か。



…というより、未来から来たということを言わずに、私の服装やら荷物やら、先程街でぶちかましてしまった圧力云々の話を、彼らに説明ができるか否か、と言った方がいいのかもしれないが。



1人考えている私を余所に、沖田さんが土方さんに事の経緯を説明している。



「それで、この人が1人で3人の浪士を追い払ったんですよ!足1本で!!」



「ほぉ…?その服装といい行動といい、只者じゃねぇな。

総司、近藤さんと幹部呼んでこい。

…尋問するぞ」



「りょーかいでーす」



誰かが横を通り過ぎる気配ではっとし、思考を停止したときには、既にこの場に沖田さんは居なくて。



土方さんがじっと私を見つめていた。



…訂正。もの凄い眼力で私を睨んでいた。
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