理論と刀と恋の関係。

生の望み、守の誓い

背中に伝わる規則正しい心音。



腹部に感じる圧迫感。



そして、全身を包む体温。



あれ、なんだこれ。



* * *



ぱち。



目を開いて、まず映ったのは桜の木。



私…昨日、縁側で寝ちゃったのね。



それにしても、3月下旬にしてはあったかい…



ころん、と私は身体を横に倒すと、お腹に回っている腕を抱え込んだ。



…?



〝お腹に回っている腕〟???



がばっと効果音でも付きそうな勢いで飛び起きる。



(…いや、効果音という表現はあまり良くない…そうねぇ、“擬態語” のほうがしっくりくる)



こんな時でも彼女の頭は活動中。



(…って、今はそうじゃなくて!)



柱に身体を預けて眠っている男____沖田総司を見つめる。



な…なんで、私、抱きしめられて…!



(ちょ、え待ってなんで、なんでこうなったの!?)



突然のことで思わずパニック。



1人であたふたとしていると、沖田さんが “んんー” とかなんとか言いながら身を捩った。



ぴたっと身体の動きを止める。



そのまま彼をじぃーっと見つめていると、



「ぁー…おはよう、ございます」



まだ眠そうではあるが、起床した様子。



「…おはようございます」



とりあえず、私も挨拶を返す。



あー眠い、なんて言いながら目をこする沖田さんは、まるで猫のようで。



思わず、くすっと笑いが漏れてしまった。
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