にじいろなみだ
不思議に思って取ってみてみる。
すると、琥珀さんは、ふっと笑った。
「そうか。現実世界には暖かい花などなかったか」
「はい」
「珠羅の花は、摘み取られた時から温度が保つ花なんだ」
「へぇ…」
「我ら妖《アヤカシ》は、人間ほど体温が保てなくてな。こうやって珠羅の花に頼っているんだ」
あたしはもう一度、珠羅の花を見る。
ピンクとオレンジが混ざったかのような色で、それはとても綺麗だった。
「…不思議」
琥珀さんは、また笑った。