710回目の告白。~好きなのに、好きになってはいけない人~
「…少しくらいかっこつけさせて?」
何今さらかっこつけようとしてるのよ。
どんな海聖も私の好きな海聖なんだから、別にかっこつけなくてもいいのに。
手の甲に触れた唇の感触が残っている。
リハビリや治療で大変だったから、まだ海聖とキスをしていない。
そのせいか手の甲にされたキスの感触がやけに生々しい。
「…それに……」
「わっ!」
手の甲を見ていると、海聖にいきなりその手を握られた。
「…両手に荷物だと、こうして手が握れないだろ?」
海聖はふっと笑って小首を傾げた。
ドキドキと胸の鼓動が速くなる。
海聖と手を繋いだのは小学生の時ぐらいだから、変に緊張する。
あの時とは比べものにならないくらいに大きくなってる、海聖の手。