星屑のバラード
「今日も皆さん、足を止めて聴いて下さってありがとうございました」


「今日の歌が皆さんの心に届いてくれていると嬉しいです」

「お気をつけてお帰りになってくださいね」

「ありがとうございました!」




拍手をもらえるのが本当に嬉しい

生きてるんだって一番感じるかもしれない

だから歌っているってこともあるんだろうな、きっと

わたしの居場所のような、そんな風に感じることができるから

今日という日を生きたって証を残せるから

こんな歌声でも聴いてくれる人はいる

だから辛くてもなんとか生きていたい

わたしの歌でみんなが何かを感じることができるなら、わたしは歌を届けていきたい



機材を片付けていると、一人の男がつかつかとわたしの方に向かって歩いてきた

来ないで…
いや…
こわい…

そう思った瞬間

ドンッ!!っという音が頭中をこだまする

えっわたし、殴られた…??

ぼっーとする…

痛いよ…

こわい…


頭の中は真っ白になり、わたしは記憶を手放した


「おいっ!しっかりしろ!」

「誰か救急車と警察!!」


誰かがわたしを支えてくれてる…

なんかあったかいな…

安心する…

なんだろこの感覚…


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