冷たい彼は旦那さま


「明日までには荷物まとめておきますね」


自分でも驚くほどに落ち着いた声。


「は?ちょ、遥?」


泣きそうになるのをグッと唇噛み締める。


泣くな、耐えろ。


「ご結婚おめでとうございます」


私なりの精一杯の言葉。


広げていた教科書をなおして、部屋に向かおうと席を立とうとした時


「遥」


そう、名前を呼ばれたかと思えば腕を掴まれた。


掴まれた腕から翼さんの体温が伝わってくる。



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