冷たい彼は旦那さま


これじゃあ、いくら心臓があっても足りないよ。


「今日ぐらい言いたい事言わせてくれないの?」



まるで私の心を読んだみたいに翼さんが言った。


恥ずかしくなって俯くと、両頬を挟まれて顔を上げさせられる。


絡まる視線が今はどうも落ち着かない。


「お互い、早く自覚しないと駄目だなこれ」


「翼さんが特に自覚して下さい」


「遥こそ」


まだまだ、旅行は始まってばかりだ。

< 358 / 427 >

この作品をシェア

pagetop