おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
発覚~ハートの子宮~
それを知るのはもう少し後の話だけど。

私の子宮は人とは少しだけ違うかたちらしい。



人の顔がそれぞれ違うように。

人の姿かたちが少しずつ違うように。



ただの個人差だと思っていた。




ハートのかたちの子宮。

「双角子宮」
「そうかくしきゅう」



その子宮の名前。

聞いたことない名前。





病気でもないし、重大な奇形というわけではない。

見た目も何も変わらないし、ほとんどの人は妊娠するまで…へたすると死ぬまで気が付かない
小さな違い。

生死に関わることでもないし、かたちが違うからといって生活に支障があるわけでもない。




ただひとつ。
妊娠したら流産と早産のリスクが普通の子宮の人よりもとても高い。




病気や怪我と闘ってる人から見たら贅沢な悩みなんだろう………




それでも…
それでも……
私は聞きたいよ。


誰に?
かみさま?運命?
わからないけど聞きたいよ。



「なんで私なの?」
「私が何をしたというの?」





私を「おかあさん」にさせてください。

あの人を「パパ」にさせてあげてください。

おじいちゃん、おばあちゃんって呼ばせてあげてください。


あの子を…
あの子たちを暖かい腕で抱いてあげたかった…
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