三行ラブレター


「なら俺に言えよな」

「げ、坂田…」


日野は坂田が苦手らしい。凄く顔が歪んでるよ。分かりやすいなこの人…。

つい出てしまった本音に咳払いをするも「げ、とは何だよ」と睨みつける坂田。
2人のやりとりを見ながら小さく笑っていると同じ目線になった坂田は言った。


「で、俺との補習授業どうすんだ」

「…他にも生徒いるんですか?」

「いねぇよ」



「…!ダメダメ!坂田先生じゃなくて日向先生に教えて貰えよ!」



な?とあせりだす日野に首を傾げていると坂田は「余計な事言うな」と再び睨みをきかせた。

それには負けじと「日向先生だって理数系だから大丈夫だ」と何故か日向をおす。


一体何がどうなってるんだか…。
火花が飛んでいる2人に引いていると再び私の真後ろに影がさしかかった。


「何してるのさ、珍しい組み合わせで」


「あ、日向」

「あ、じゃない。もうそろそろ暗くなるから帰りな」


「はーい。じゃ、先生たちまた明日ー」

「お、おう!気をつけて帰れよ」


日野の声を聞き振り返ると皆立ちあがって此方を見ていた。

何だかそのメンバーに妙に笑えて大きく手を振る。


日向は相変わらずの仏頂面で2人に何か言っていたがその会話が聞こえる事はなかった。

< 37 / 55 >

この作品をシェア

pagetop