その1%に ..
「 先輩後輩 」
誰も居ない体育館に
タンッタンッとバスケットボールの弾む音が響きながら冬の寒さで冷えた地面を揺らす。

半年前までは当たり前のように来ていた体育館にはもう、授業以外に行くことはない。
行く理由もないけど。

「とか言って来ちゃうんだよね。」

3Pラインからゴールに向け天井に押し出す様にボールを放つ。
それは放物線をキレイに描き、ゴールに嫌われることなくトスッと入った。

「んん〜やっぱブランクあるよなぁ、利き足も完全に変わっちゃったし」

なんて独り言を言いながらボールを拾い、またゴールに向けて意識を集中させる。
そしてさっきより踏み切りを大きくして跳ぼうとした時ーーーーー


「そうなの?ブランクがあるとは思えないくらい上手なのに。あ、しいて言うともう少し体勢を低くするといいよ」

いきなり背後から声がするものだから肩がビクッと跳ね上がる。
ゆっくりゆっくり後ろを振り向くと見覚えのある顔がクスリと笑った。

「..早川、先輩?」

聞こえるか聞こえないかの声で呟いた名前も
誰も居ない体育館ではよく聞こえる。

「うん。でも僕の名前、なんで知ってるの?」

そう言って首を傾げる先輩に苦笑いだけを返した。
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