少年陰陽師 奥州平泉奇譚
7》龍の涙
「なあ、祐……調査を止めて戸隠に帰るか?

そうすれば」



八雲は、情けない声で僕に尋ねる。




「できないよ!」



僕は、すかさず身を起こし声を挙げた。




「八雲は、陰陽師で僕はその式神だ。

任務を途中で投げ出したら八雲が、役立たずのレッテルを貼られるだけではすまないんだよ」




「でも……」



僕は、八雲を無視して続ける。





「お祖父様や父さん、戸隠や各地で情報を提供してくれてる草の人達にまで、迷惑をかけることになるんだ……。

わかってる?」




「そんなこと!

俺だってわかってる。

でもお前が……」




「僕は任務を完了するまで帰らない」



僕は、うなだれる八雲の手をきつく握りしめた。




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